変 視 症

変視症  metamorphopsia Metamorphopsie

§.概  念

変視症 metamorphopsia
 ものがゆがんで見える.

小視症 micropsia
 ものの大きさが小さく見える.

大視症 macropsia
 ものの大きさが大きく見える.

図 00 ちゃーと  変視症 補

いずれも,
屈折問題で生じる不等像視 aniseikoniaや,調節障害・中枢病変による小視・巨視,前進・後退とは別に考える(中枢病変では dysmorphopsia と云うようである)

図 01 変視

■変視症
黄斑部網膜に,浮腫や癒着,牽引による変形が生じて自覚される.
屈折異常の乱視では像のぼやけであり,ゆがんで見えることはない.「乱」の字が良くない ネ.
頻度が高い疾患としては,加齢性黄斑変性,黄斑部網膜上膜,黄斑部に剝離が及びはじめた裂孔原性網膜剝離,黄斑円孔,中心性漿液性網脈絡膜症,など.そのほか,網膜血管障害,ぶどう膜炎(特に原田病)で.
なお,似た様な凸凹でも,部位が網膜外層(例;脈絡膜皺襞)と網膜内層(例;黄斑前膜)では変視症の程度が違う.内層(網膜表層)の方が強い

■小視症
網膜に,浮腫が生じて自覚される.

図 補

■大視症
網膜に,収縮が生じて自覚される.

■巨視症 megalopsia
だいたい中枢性 精神神経科用語

 内境界膜(Müller細胞)の関与

図 補

検査

1.河本こう もと 式中心暗点計
後天色覚異常を伴う軽微な中心暗点の確認には,かなり敏感に作られている.ただ,検出した所見の表現・記録に難点があり経過観察には使いにくいようだ

図 02 河本式 河本① 河本② 河本③ 河本④ 河本⑤ 河本⑥ 河本⑦ 河本⑧

2.Amsler chart
中心視野の異常の検出には,般的かもしれない.

図 03 アムスラ 図 04 Amsler くりっく可

grid を見て,変形かすれなどの視覚変調をとらえる.暗点のスケッチにも使える.

小視症6 大視症7 変視症8

従来型の白黒の Amsler grid chart では黄斑領域の視野障害の検出に限界があり,とくに初期の 6°以内の小サイズでは 89 の症例で検出に失敗し,進行した黄斑変性でも 60%ほどしか確認できないという.
初期病変の検出には
red-on-black : コントラストと明度を下げたもの
blue-on-yellow :
blue-on-red :
white-on-red :
red dots field test :
などが工夫されている.

3.MCHARTS 変視症 補
変視の測定~副尺視力を応用し定量化が工夫されている.
直線と視角0.2~2.0°の間隔の点線からなり,縦方向・横方向で歪みの自覚される点線の最大視角を変視量とする.
黄斑円孔症例には,2本線のM-CHARTSが有用である.
点線の太さは視力に応じ視角0.1°と視覚0.5°のタイプがある.

 megalo/macro の使い分けは
macro:ギリシャ語で makros (μακρός) に由来し,長い,広大な,背が高い,の意.
mega:ギリシャ語で megas (μέγας) に由来し,大きい(great),の意.国際単位系 (SI) としては106(=百万)倍
micro:ギリシャ語で mikros (μικρός) に由来し,小さい,の意.国際単位系 (SI) としては10−6(=百万分の)倍
そんなことで,megaは抽象的な意味合いを含む異様な巨大さ,macroは具体的・実体としてデカサイズ,・・・・ムズ
そもそも英語圏のテキストでは,macropsiamegalopsia とは同列の記述になってるような気がする.
macropapillamegalopapilla も,同列だ.
区別は どうしてるんだろ.

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2022